継続企業の前提

ゴーイングコンサーン(Going Concern)とは「継続企業の前提」と

言われるもので、企業が今後無期限に事業を継続することを前提に

考えることを意味します。企業会計の大原則である会計公準の一つに

挙げられてもいます。

 

企業は誕生してから短期間で事業活動を終焉するための物ではなく

未来永劫続いていく集団として捉えていく考え方がゴーイングコンサーンです。

 

現在の会社の事業年度は概ね1年であることが多いのですが、

これもゴーイングコンサーンの考え方に与するもので、

継続を前提としているから単に事業年度や会計年度を

使いやすい1年という単位で区切っているだけのことです。

仮に継続を前提としないのなら、事業年度は設立当初から

3か月とか15ヶ月とか任意の単位になってしまい、

事業年度が終了するごとに清算することになります。

 

ただいくらゴーイングコンサーンが基本だとしても

継続できない危機的な企業が発生するのは日常的な事柄です。

継続できないのが明らかな企業が継続を無理やり押し進めることも

大きな問題となってきます。

 

日本では監査基準の改訂に伴い、平成15年3月期から

継続企業の前提に関して経営陣と監査人が検討を行うことが

義務付けられました。多額の債務超過や債務不履行に陥る可能性が

ある場合や、突発的な事故などで多額の費用負担を強いられている

企業の継続できる可能性を議論する機会を必ず設けなさいと言うのが、

その趣旨になっています。

 

また監査基準によれば、検討した結果が継続企業の前提に重大な疑義ありと

判定された場合には、財務諸表に注記しなければならないとされています。

ゴーイングコンサーンは何も企業や会計上の考え方だけじゃなく、

投資家も同じ考えで企業を見ている訳ですから、継続の可能性を

公開することは非常に重要なことと位置付けられたわけです。

 

継続企業の前提に重大な疑義ありと判定された経営陣は苦しい立場に

立たされたということを自らが認め公にしていくことになりますが、

経営の再建計画を立案し監査人に継続へ向けての説明を行い、

監査人の意見を表明してもらうことになります。